晩飯の買い物に行くと言って俺はチルドレン達のおもりを任されていた。
 腰が痛いだろうに主夫は送るという言葉も聞かずに行ってしまった。
 もう3人でいれない歳でもないだろうに。

「ねえ先生」
「なんだい紫穂ちゃん」
「次、ゲーム私たちの番ね」
「…正直勝てる気しねーんだけど」
 前にやった時、最後の最後にひっくり返された。

「あのゲーム、好きなんでしょ」
「負けてからすっかりトラウマさ」
「同じゲーム買っちゃうくらいなのに?」
「なっ、いつ視た」
「男って分かりやすいんだもの」
 ふふふと笑う様は底知れないものを感じる。
 誘導されている。
 絶対こいつらに子守りなんかいらねえよ!

「ねえ先生」
「…何かな紫穂ちゃん」
 次はどんな精神攻撃を仕掛けてくるのかと身構えた。



「どうして殺意だけで人は殺せないのかしら」



「キミなら出来そうで怖いんだけど」
「出来るわけないでしょ」
「断言するところが怪しいよ」

「ところで先生」
「なんだい紫穂ちゃん」
「なぜ正座しているの?」
「キミが言うかなそれを」
「ふーん、心当たりがあるんだ」
「…なんのことかな?」

「ねえ先生、手貸してもらえるかしら」
 腕を掴まれる。
 前でゲームをしてる2人は聞かれたくない内容。
 つまり、あれが来る。

 ねえ先生。
 なんだい紫穂ちゃん。
 私、怒ってるの。
 視なくてもわかるよ。
 先生たちのこと、私以外が気づいたら殺しても良いかしら。
 それは勘弁してほしいな。
 社会的抹殺は良いわよね。
 皆本も道連れに、か?
 それは―。
 嫌というほど考えたことだ。

 そのさ、皆本が嫌がらないうちはこのままでいさせてくれないか。
 …愛されてるわけじゃないと思うわよ。
 きついこというね。
 わかってるんでしょ、皆本さんは優しいの。
 重々承知だよ。これでもキミより少し長い付き合いだからね。
 私、なんでこんなこと言わなくちゃいけないのかしら。
 うん、ごめんね。
 謝らないで。
 …ありがとう。
 だからプロテクト、出来るだけかけてね。
 超度6なりにやるさ。
 じゃあ、にやけたツラをどうにかしてほしいところだけど、寝室付近お願いできるかしら。

 …へ?

 朝、視えちゃったんだけど。
「すみませんでした」
 急に土下座した俺に、ゲームをしていたはずの2人が怪訝そうな顔で振り返る。
「先生今度は何したん?」
「あれだろ、浮気」
「なんでそれで紫穂に謝んねん」
「あれ、ほんとだ」

「…気にしないで続けてくれ」


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