=混色悦色=


 ふと手を伸ばしてみても船からじゃ海水に手を浸すことができない。
 冷たいのにさ、つらい思い出しか海には無いってのに。
 …つつまれるっての?


 泳いでたりするとそのまま溶けてしまいたい気分になるんだわ。
 海賊になってコック兼戦闘要員としていろいろやってると自分が返り血で汚れちゃってる気がすんだな。
 そんな赤色を奴はつつみこんで流してくれる。


 そんな水面に映るのは金髪の俺の髪。
 海に映って混ざれば緑になるんだろうぜ。
 よくわかんないし現実にはどうなんだろうって話。
 どんな足し方したら髪色と海が混ざるってんだ。


 「混ざらねぇっての」
 煙草に灯をつけて夜空を見上げる。


 ほら見ろ。
 月と空は溶け合ってないどころかお互いの色を主張してやまねぇ。
 でもそれは黄色と緑も一緒か…チクショウ。
 色が混ざるなんて絵の具の世界じゃなきゃありえない。
 違う色は混ざりはしない。


 炎は赤色。
 煙草の先で燻ってやがる。


「おい、コック」
 緑色はマリモの色。
「なんだ寝ぐされマリモ」
「ヤろうぜ」



  黄色と緑は混じる。 


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