=シックス・センス=

「ハレルヤに会ったよ」  何気なく口に出された言葉に僕は驚いた。  突然部屋を訪ねてきたロックオンが無いか話したそうにしていたから静かにしていて、  もう十数分は経った頃だった。 「…なんの話、かな?」  そして我ながら思うのだ。  自分は天地がひっくり返ることがあっても役者にだけはなれないと。  でもそんなことを言い出せば戦うことしかできない僕はだなんて悲しくなってくる。 「とぼけなくて良いんだぜ。  俺はお前さんの分身に会って話したんだから」  本当なの?  ハレルヤに聞いても何も返してくれない。  いつもそうだ。  大事なことは全部僕が知らないうちに終わらせてしまう。 「ハレルヤ、あいつ悪い奴じゃなさそうだな」 「当り前だよ」  条件反射のように返してしまってから気づく。 「…守秘義務、違反しちゃった」  ティエリアに怒られちゃうよ。  そう呟けばロックオンは笑いながら僕の肩を叩いた。 「あいつは真面目だからな」  だから俺とお前の秘密な。  あ、ミススメラギは知ってるだろうけど…約束だ。  いたずらっ子のように笑うロックオンにつられて笑いがこぼれる。  この人のこういう所に凄く憧れる。 「黙っててごめんなさい」  恋人だって言ってくれた貴方に。 「守秘義務だろ?」  それでも申し訳なさげにしている僕に呆れたのかロックオンはため息を吐いた。 「ごめんなさい」 「アレルヤお前なぁ…まぁいいや、お前らしい。  これから俺のこと教えるからそれでイーブンな」 「え?」  あまりに突飛なことをいうものだから僕は相当間抜けな顔をしていたのだろう。  ロックオンが笑っている。 「俺さ、双子なんだわ」  お前と似たようなもんと言う彼に僕は返す。 「全然違います」 「だよな…」  ロックオン自身もそう思ってたのだろう。  簡単に言葉は撤回された。 「でもよ、見た目は鏡に映したようにそっくりでさ。  お前さんとハレルヤのように性格は大違いだ。  お前たちが大違いだって言ってるんじゃないぞ。  アレルヤはアレルヤでハレルヤもハレルヤなんだからな。  …こっからは戯言だと思って聞いてくれ」  僕は従う。  この人が言うなら何だって。  それがCBの不利益にでもなりやしない限り必ず。  それは恐怖さえも覚えるほどの確信だった。 「俺はアレルヤ、お前を選んだ。  愛している。  信じろなんて言わないさ、ただ思ったことを言っているだけだ」 「…恥ずかしいよ」 「だな」  なんて恥ずかしい人なのだろう。  気障なことを平気で言ってしまうロックオンに敵わない。  でも似合ってると思うのは僕の欲目だろうか。  恥ずかしそうに笑っていたロックオンの表情が変わる。  僕もあわせて真面目な顔を取り繕ってみたけどまだ顔が熱い。 「だからライルはハレルヤのことが好きになる、そんな気がする」 「僕がロックオンを好きなように?」 「俺がお前を好きなように、だ」  律儀に言いなおす彼につい吹いてしまった。  真面目な顔も台無しだ。  つられてかロックオンも笑い出した。 「双子の勘ってのは捨てたもんじゃないな」  新しいロックオンは遺言にも似たその言葉を聞いて彼と同じように笑うのだった。
 ライアレも捨てがたいけどニルアレ、ライハレっていう2重構造も魅惑的。  <<