=必然の騎士=
 
 
 
 
 
 
 アレルヤは世界から逃げるかのように目を閉じた。
「あれ、何してるの?」
 広がる世界は灰色で、その中にぽつりと緑色の髪の毛が輝いていた。
 光を反射するにもそこには太陽がないというのに。
 
 
 きっと君が光っているんだ。
 アレルヤには眩しくて熱くて触れることもできないハレルヤ。
 だから光って見えるのだろう。
 
 
「考え事してんだよ。暇なら代われ、調べたいことあっから」
 灰色の世界でアレルヤは眼鏡をかけて座り込んでいた。
「眼、悪かったっけ?」
 ふと疑問に思って訊ねる。
「お前の視力と一緒だ、バーカ」
 見た目が少し変わっていてもいつものハレルヤだと安心してアレルヤは流れていくよう
 な感覚にに身を任せた。
 
 
 
 
 
 
 ハレルヤは共有を拒絶する時がある。
 身体が知覚する五感全てが閉ざされ、いうなればプライベートが守られるのだ。
「プライベートだなんておかしな話だけどね」
 今も、自分の身体が何をしているか知ることは無くアレルヤは寝ころんでいた。
 
 
「僕は考えてることも筒抜けなのに」
 ハレルヤは凶暴なのかもしれないけれど、いろんな点で自分より優れているとアレルヤ
 は思っていた。
 それが劣等感を呼び卑屈というか弱気な性格を構築していく。
 
 
「何をしてるんだい、ハレルヤ」
 答えは無い。
 いつもそうだ。
 ハレルヤは決して結果しか答えようとしない。
 
 
「僕も一緒に悩みたいのにな」
 苦しみを分かち合ってくれるハレルヤ。
 いつも守られているばかりだ。
「助けになりたいのに」
 完全に遮断されているのだろう。
 何の言葉も返ってこなかった。
 
 
 
 
 
 
 
「凄いんだね、ハレルヤ―」
「ありがとう、だなんて言うなよ、ウゼェ」
 これで超兵とも戦えるというのにお礼さえ言わせてもらえない。
 その事実にアレルヤは、でも…と呟いた。
 
 
「俺は俺のためにやったんだよ」
「でも僕も助かった」
「そりゃ偶然だ」
「違うよ」
 
 
 どうすれば影響を受けずに済むか。
 最近のハレルヤの悩み事はきっとそれだったんだ。
 でも僕のために頑張ってるなんてばれるのが照れくさかったから共有を拒絶して隠し
 てた。
 
 
「自惚れんな」
「これは自惚れなんかじゃない」
 だから言わせて。
 
 
 
「ありがとう」
 
 
 
「馬鹿じゃねぇの?」 
 
 
 
 
 
  
 
 
 

 きっとハレルヤは脳量子波の影響を遮断するために勉強したんだろうなと想像して出来たブツ。  <<