=構成物質= そっと触れていただけの唇が離れる。 熱心に唇を吸っていた高杉のそれが心持ちとがる。 「そんなに信用なんねぇってか」 ほんの数秒前まで愛をはぐくんでいた口から出た言葉。 心外にもほどがあるその言葉に土方は青筋を浮かべた。 「だったらこんなことしねぇよ」 「純情でも気取ってんのか?ガキが」 「ガキはこんなことしねぇよ」 「はっ、ガキでもこれ以上のことしてらァ」 甘い雰囲気は瞬時に消え去った。 二人の間には本来なら流れているはずの敵意にも似た鋭利な空気が漂っていた。 先に面倒くさくなったのは高杉だ。 「お前なァ…普通舌くらい入れんだろうが」 ご丁寧にため息付きである。 「好きあってもいないのにかよ」 「俺ァ好きだぜ、土方」 「身体がって言葉がたりねぇぞ」 皮肉げに口の端を吊り上げて土方は吐き出す。 高杉でも少しは傷つく言葉を。 「お前だって俺のこと好きだろ」 「身体はな」 受け入れることに慣れたようなそぶりをしていたのはこのためか。 身体を重ねること十数回目。 高杉は最初の時の疑問をようやく解消した。 「敵同士ならあとくされが無くて良いだろ?」 聞いてもいないのに紡ぎだされるたわ言。 身体が物語る馬鹿みたいに初々しい淡い気持ち。 その両方を理解してしまえばこれ以上に愛らしいものがあるだろうか。 防御のためにと刀へ伸ばしていた手をひっこめた。 「何かあったら俺が斬るだけだ」 だからお前に抱かれてやってると続けそうな土方の口を塞ぐ。 とっさにひっこめられた舌。 土方自身へと伸ばそうとした手ははたかれる。 「無意識に急所守りやがって」 組織に囚われている可哀想なヤツ。 そこが無くなれば堕ちてくるだろうか。 自分で繋がる準備を始めた土方を見ながら、高杉は1つ策を練る。 -------------------------------------------------------------------------------- なんでかしらないけれど両想いな2人。 殺伐な関係が似合うのが好きです。 3Zなら甘くても良し。 <<